五輪女子フィギュア日本選手初の銀メダリスト
伊藤みどり/1992年オリンピックで女子初のトリプルアクセル

女子フィギュアスケートにおけるオリンピックでのメダルといえば、2006年にイタリアのトリノで開催された冬季オリンピックにおいて、荒川静香がトゥーランドットのメロディーに乗せた素晴らしい演技で見事獲得した日本人初の金メダルが記憶に新しい。
日本人初のメダルといえば、1992年のアルベールビル(フランス)においてオリンピックで女子初のトリプルアクセルを成功させた伊藤みどりの銀メダルが、今も歴史に燦然と輝いている。
演技後半で決めたトリプルアクセル
オリジナル・プログラムでは、最初のコンビネーションジャンプを失敗し4位に甘んじていた伊藤みどり。この失敗を挽回しようと前半の2つ目のコンビネーションジャンプで当時女子では誰も五輪で成功したことのなかったトリプルアクセルに挑むが、これも着氷に失敗してしまう。
演技時間も3分を過ぎ、誰もがメダル獲得を諦めてかけていたその時、伊藤は勢いよく踏み切り三回転半のトリプルアクセルを見事成功させた。体力の落ちる演技後半での成功に会場は度肝を抜かれた。
「オリンピックでどうしても跳びたかった」
演技後に語った伊藤の情熱と高い技術は、審判員にも大いに評価され、女子フィギュア日本人初の銀メダル獲得の快挙が成し遂げられたのだった。
フィナーレはラフマニノフ
伊藤みどりがこの演技で使用した音楽はラフマニノフのピアノ協奏曲。前半では第1番が、後半では第2番のフィナーレ部分が使用された。映画音楽のような壮大なコンチェルト第2番第3楽章のメロディに乗せて見事成功させたトリプルアクセル。いわゆる「ラフマニノフ終止」と呼ばれる派手目の終結部は、偉業を成し遂げた彼女の演技を締めくくるのに相応しい感動のフィナーレだ。